iNKTがん治療の効果の仕組み

iNKTがん治療の効果の仕組みをお話しする前に従来の免疫治療の効果が限定的である理由をお話しします。

まずがんの中には大きく分けると3種類のがん細胞があります。それは「がん抗原を発現しているがん細胞」、「がん抗原を発現していないがん細胞」、そして新たに出現する「変異がん細胞」です。これら3つのがん細胞を同時に排除できないとがんは再発・転移をしていく事になります。従来の免疫療法は「がん抗原を発現しているがん細胞」か「がん抗原を発現していないがん細胞」のいずれか一方のがん細胞しか攻撃できず、「変異したがん細胞」には対応できていませんでした。更に多くの免疫細胞は活性化すると短期間(48時間以内と言われています)で消滅してしまうので、長期の攻撃が出来ませんでした。その為に効果が限定的になりがちだったのです。

一方でNKT細胞は自然免疫系のNK細胞と獲得免疫系の細胞傷害性T細胞を同時に活性化できる唯一の免疫細胞です。しかも活性化された免疫細胞の一部が体内に残存し、長期免疫記憶を形成することができるのです(マウスモデルでは36週間後にも免疫記憶が形成されていました)。つまりがんを攻撃する免疫系全体を活性化するためにはNKT細胞を活性化する事が重要になります。

しかしながら「がん」があるという事だけではNKT細胞が活性化されないのが難しいところです。

そこでこのiNKT治療ではNKT細胞を活性化させるために国立研究開発法人理化学研究所の特許技術を使っています。

(この特許技術を使用している治療だけがiNKTがん治療を名乗れます。)

仕組みは、患者さん自身の体内から取ったある細胞にNKT細胞を活性化する特別な糖脂質をくっつけて体内に戻すことによってNKT細胞を活性化し、更に活性化したNKT細胞が免疫系全体を活性化すると言うものです。細胞自体は自分の細胞ですから、大きな副作用もなく治療できます。

また、がんに対する免疫系全体を活性化するので、がん種を選ばないと言う特徴も持っています。

この治療は過去の臨床結果でも進行がんに対してもすばらしいエビデンスを残していますが、あくまで自分の免疫を使った治療なので、効果はゆっくり長く出るという事は知っておく必要があります。

しかし36週を超える免疫記憶が残る事と副作用も少ないと言うことを併せて考えれば、大変に優れた再発予防法になる可能性は高いと思います。

最後になりますが、NKT細胞をターゲットとした治療法は他にもあるようですが、理化学研究所の特許技術を使用したNKT細胞ターゲット療法は「iNKTがん治療」だけですので、気を付けてくださいね。

最新の免疫治療 iNKTがん治療

 

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最新の免疫治療 iNKTがん治療

オプジーボの登場以来、再び注目を集め始めた免疫治療。

一般的に免疫療法と言われるNK療法や活性リンパ球療法、樹状細胞療法などはワクチンで免疫を活性化させたり、リンパ球などを培養して体内に戻すなどの方法がとられていました。しかしながら思ったように効果が実現できませんでした。

そこに登場したのが免疫チェックポイント阻害薬と言われる、オプジーボやヤーボイ、キートルーダなどです。これらは従来の免疫療法とは全く異なる作用機序でがんを攻撃しようとします。   (作用機序に関しては少々古い記事ですが以下をご参照ください http://www.hlm-labo.com/?p=80 )

今回ご紹介する免疫療法は従来の免疫療法や免疫チェックポイント阻害薬と異なる作用機序のiNKTがん治療です。これは特定の免疫細胞を活性化したり、培養して増加させたものを体内に戻すものではなく、人体が持つがんに対する免疫系全体を活性化するものです。免疫系全体を活性化できるので、NK細胞が担当している自然免疫も、キラーT細胞が担当している獲得免疫も同時に活性化できます。免疫全体を活性化できるので、従来型の免疫療法では対応できなかった変異したがんも攻撃できると言われています。

更に重要な事は、この治療は長期に渡る免疫記憶を獲得することが出来るという事です。実は従来の免疫治療では短期間の治療効果しか期待できないと言われています。そのために頻回で長期の治療が必要となりました。ところが、iNKTがん治療は長期免疫記憶が出来る事により、治療期間を短く回数も少なく出来るのです。

この治療は現在は「国立研究開発法人 理化学研究所」にいらっしゃる「谷口 克先生」が開発した最先端免役治療であり、千葉大学などで先進医療Bとしてごく限られた範囲内で行われてきました。

しかしながら大変喜ばしいことにiNKTがん治療を下記クリニックで提供できることとなり実施しております。しかも嬉しいことに先進医療で行われている治療に更に理化学研究所が持っている特許をプラスした治療となっていますので、更なる治療効果が期待できそうです。

自費診療とはなりますが、ご興味がある方は右側(スマホの方は下)にあるお問い合わせフォームからお問い合わせいただければ出来る限りご回答いたします。

今後、更にエビデンスや作用機序などをお伝えしていきたいと思います。

この治療を受けられるTPCクリニック

iNKTがん治療の作用機序

 

 

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食道がんに対する化学陽子線治療

食道がんは早期に発見するのが難しいがんです。初期の段階から周囲へのリンパ節への転移が起こるため、何らかの症状が出て発見された場合の多くはリンパ節転移が起きています。そのため、遠くの臓器への転移が起きていないⅢ期までの食道がんでも治療範囲は比較的広くなります。

標準治療には「手術」と「化学放射線療法」があります。一般的に第一選択は手術となりますが、高齢の患者さんや、なんらかの合併症がある患者さんにはリスクが大きすぎるので、放射線治療と抗がん剤治療を同時併用する「化学放射線療法」が行われます。手術と比較しても、手術にかなり近い治療成績を上げています。

しかしながら、化学放射線療法には、化学放射線治療ならではの副作用があります。食堂に放射線を照射するときに、どうしても心臓や肺に放射線がかかってしまうのです。それにより心臓を包む膜に水がたまる「心外膜炎」や「放射性肺炎」が代表的な障害として発生してしまうのです。

これらの副作用を軽減するのに効果的だと考えられているのが、「化学陽子線治療」です。化学放射線治療の放射線治療の部分をX線から陽子線に置き換えたものです。

陽子線には「ブラッグピーク」という、エネルギーの放出が、ある一点で大きくなる性質があります。ですからそのピークをコントロールすることにより、目的とする臓器以外には放射線があまりかからないようにすることが出来るのです。そのことにより、食道がんの場合は肺や心臓に対する影響を大きく減らすことが出来ると期待されているのです。照射回数は基本的には30回照射を行います。

また、陽子線治療は先進医療なので、その部分の費用は全額自己負担となります。金額は筑波大学では、248万4000円と高額となります。その他の部分の治療には保険が適用されます。

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がんの早期発見に効果を発揮する特殊光内視鏡「NBI」

mm単位の小さいがんは、従来の内視鏡では映らないので見えないがんでした。ところが内視鏡技術を進化させた、特殊光内視鏡「NBI」(Narrow Band Imaging)が見えないがんの早期発見を可能にしました。

何故見えないものが見えるようになったのでしょうか。

がんは栄養分を引き込むために血管を新生します。しかしながらがんの芽である微細ながん細胞が引き込む新生血管は0.1mm以下と細いため、それを今までの内視鏡では発見できなかったのです。

一方、NBIは血管を流れる赤血球の成分であるヘモグロビン(小学校の理科で習いましたよね?)に吸収されやすい2つの波長の光で照らして観察するため、粘膜表層の毛細血管と粘膜微細模様が強調して表示されます。先述しましたが、がんは成長するときには新生血管を多く引き込みます。そのような状態になれば、NBIでは粘膜表層が込み入って見えるようになりますので、がんが早期発見できるのです。

特に咽頭・喉頭がん、食道がんのハイリスクグループには、このNBIが早期発見のための強力な武器になるでしょう。

頭頸部がんの分子標的薬治療

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ダヴィンチによる腎部分切除術が保険適用に

ダヴィンチサージカルシステムを用いたロボット支援による腹腔鏡下腎部分切除術が今年(2016年)4月より保険適用となりました。ロボット支援手術に対する保険適用は2012年の前立腺全摘除術に次ぎ2例目となります。

ダヴィンチサージカルシステムなどを用いたロボット支援腹腔鏡下腎部分切除術は今までは「先進医療B]として実施されていましたが、根治性(がんの断端陽性率)と腎機能温存(阻血時間25分以内)の達成率に関して、従来の腹腔鏡下手術と比較して優位に良好な結果を得ることができたために保険適用として承認されました。

また、本手術は腫瘍抑制の点でも開腹手術や従来の腹腔鏡下手術と比べて遜色がないとされます。更に従来の腹腔鏡下手術に比べてもより低侵襲ですし、操作性も非常に高いので手術が大変にやり易くなり、結果として手術の精度が高くなるので合併症のリスクも低減されます。それ故に患者さんの予後の改善やQOL(生活の質)の向上も期待できると見られています。

胃がんのロボット内視鏡手術

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多発性骨髄腫の抗体薬(分子標的薬) ダルザレクス(一般名ダラツムマブ)

米国食品医薬品局(FDA)は、少なくとも3回の治療歴がある多発性骨髄腫患者の治療薬としてdaratumumab[ダラツムマブ](商品名Darzalex ダルザレクス)を迅速承認しました。

ダルザレクスは注射剤で、多発性骨髄腫治療を目的に承認された最初のモノクローナル抗体となりました。

ダルザレクスは、免疫システムに存在する特定の細胞のがん細胞攻撃を補助することで作用します。

ダルザレクスの安全性と有効性は2つの非盲検試験で検証されました。106人の参加者にダルザレクスを投与した1つ目の試験では、患者の29%で完全寛解あるいは部分寛解を実現し、この効果は平均7.4カ月持続した。二つ目の試験は42人の参加者にダルザレクスを投与し、患者の36%で完全寛解あるいは部分寛解を実現した。

ダルザレクスで最もよくみられた副作用は、インフュージョンリアクション(薬剤投与中または投与開始後24時間以内に現れる過敏症などの症状の総称)、疲労、嘔気、腰背部痛、発熱、咳です。ダルザレクスは、また、感染と戦う白血球数の低下(リンパ球減少症、好中球減少症、および白血球減少症)または、赤血球数の低下(貧血症)および血小板レベルの低下(血小板減少症)を引き起こす可能性もあります。

ダルザレクスは、日本でも増加傾向が見られる多発性骨髄腫の治療薬ですが、この承認はFDAの迅速承認プログラムに基づく承認であり、残念ながら日本ではまだ承認されておりません。

多発性骨髄腫の特徴と症状

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腎臓がんの凍結療法

この治療法は4cm以下の腎臓がんに対して2011年の7月から健康保険適用になりました。高齢者や、他の疾患のために手術が困難な場合、手術を受けることを拒否する場合に行われます。

手術には、冷凍手術器と接続している長さ20cm、直径1.5mmほどの特殊な針が使われます。この針はマイナス185度まで冷却されます。

手術は局所麻酔で行われます。MRIで病巣を確認して、体表からがんに向かって針を刺していきます。そこで針を一気に冷やしてがんを凍らせて死滅させるのです。10分冷凍してから2分休憩し、また10分冷凍するという2回冷凍が行われます。治療は短期間で終了し、通常は1泊2日で退院できます。

1本の針で周囲2cmの範囲を凍らせられ、2本使えば3cm凍らせられます。針は最高で5本まで使えます。冷凍する範囲はがんの辺縁から5mm以上広くする必要がありますので、3cmのがんなら4cm冷凍する必要があります。但し、針のさせないような場所や血が止まりにくい場合この治療は出来ません。

凍結療法は、放射線や化学療法とは全く異なるメカニズムでがん細胞を壊死させるため、放射線や化学療法が効きにくいがんに対しても効果が期待できます。また、低侵襲(体の負担が少ない)ことも特徴のひとつです。放射線治療との違いとして、凍結部位に再発を来たした場合に繰り返し治療が行えるというメリットもあります。

腎臓がんのほかには、前立腺がんや肝がん、乳がん、肺がん、子宮頸がん等の治療として治験が行われています。

腎臓がんの分子標的薬 パゾパニブ(ヴォトリエント)

FDA(米国食品医薬品局)がオプジーボ(ニボルマブ)を腎がんに承認

腎細胞がんの新たな分子標的薬カボザンチニブ

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腎細胞がんの新たな分子標的薬カボザンチニブ

血管内皮増殖因子受容体チロシンキナーゼ阻害薬(VEGFR-TKI スーテントやヴォトリエント等)の投与経験がある進行転移性腎細胞がんに対して、腫瘍の成長・転移をもたらせる腫瘍血管の成長と主要なシグナル経路を遮断する作用を有するCabozantinib(カボザンチニブ)は、エベロリムス(アフィニトール)よりも無増悪生存期間(PFS)を約2倍に延長することが非盲検第3相臨床試験であるMETEOR試験で明らかとなりました。

METEOR試験では、分子標的薬であるカボザンチニブ(コメトリク)が、前治療歴のある進行転移性腎臓がん患者に対する標準的な二次治療と考えられてきたエベロリムス(アフィニトール)と比較されました。この試験では、増悪または死亡のリスクが42%減少し、カボザンチニブは無増悪生存期間の中央値を3.8ヵ月から7.4ヵ月とほぼ倍増させました。

主な副作用は、下痢、疲労感、吐き気、食欲減退、手足症候群などですが、サポーティブケアや用量調整で対処可能な範囲内であったようで、重篤な有害事象の発生率に両群で差は無かった模様です。

カボザンチニブは2012年に甲状腺がんの特異的タイプに対する治療薬として米国食品医薬品局(FDA)の承認を受けていますが、残念なことに日本では未承認です。

FDA(米国食品医薬品局)がオプジーボ(ニボルマブ)を腎がんに承認

腎臓がんの分子標的薬 パゾパニブ(ヴォトリエント)

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肺がんの遺伝子治療について

遺伝子治療はいわゆる代替医療です。すなわち、科学的根拠を証明していない治療です。しかしながら証明出来ていないことと、効果の有無は別だと思っています。新しい治療法は最初はどれも科学的根拠が証明されていないのです。更に科学的根拠を証明するのには時間が必要なのです。でも証明を待っていられない患者さんがいらっしゃるのも一方の現実です。

以下の症例はある医療機関で行われた肺がんの患者さんの遺伝子治療の写真です。

66歳男性 遠隔転移無しと言う見立ての患者さんです。

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もちろん、皆さんに同じ結果が出るわけではありません。

でもこのような効果が出る方がいらっしゃるのも現実です。更に言えばこの治療は標準治療を邪魔する治療でもありませんし、副作用も少なく患者さんにとっては低侵襲な治療とのことです。

一見良い事ばかりのようですが、残念ながらこの治療は自由診療です。費用は全額自己負担ですし、治療できる施設も多くありません。更に遺伝子治療と謳ってても実施施設により治療内容も異なります。だからこそどこで治療をするのかの選択が非常に重要になるのです。

遺伝子治療に寄らず、ご質問・ご相談があればお気軽にどうぞ。

ご質問のある方はこちらからお気軽に

がん遺伝子治療 その1

肺がんの第三世代分子標的薬AZD9291(TAGRISSO)

乳がんの遺伝子治療例

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TAGRISSO(タグリッソ)-オシメルチニブが認可されました

優先審査品目として審査されていた肺がんの第三世代分子標的薬AZD9291(TAGRISSO タグリッソ)オシメルチニブが2016年2月29日に国内で認可されました。

適応は「EGFRチロシンキナーゼ阻害薬に抵抗性のEGFR T790M変異陽性の手術不能または再発非小細胞肺がん」です。

タグリッソはEGFR阻害薬による治療に耐性が生じた患者にみられる「EGFR T790M変異」という新たな遺伝子変異を標的にするものです。

イレッサやタルセバなどのEGFR-TKIが奏効しても、ほとんどの症例で薬剤に対する耐性ができ病状が進行してしまいますが、この耐性化した症例の過半数にT790M変異がみられると言われています。このT790M変異陽性の非小細胞肺がんに効果を発揮する薬剤として期待されているのが第3世代分子標的薬のタグリッソ(オシメルチニブ)です。

今まではT790M変異陽性肺がんに対する治療薬は市場になかったため、日本肺癌学会が15年7月に同剤の早期承認を厚労相に求めており、同年8月に申請し優先審査されていました。EGFR T790M変異陽性の非小細胞肺がん患者数は約1万9,700人~3万5,300人と推測されています。

使用法は1日1回経口投与で用います。またT790M変異の遺伝子変異があるかどうかを検出するため、厚労省は、同剤の承認とほぼ同時期にコンパニオン診断薬も承認する方針です。

肺がんの遺伝子治療について

肺がんの第三世代分子標的薬AZD9291(TAGRISSO)

進行・再発の非小細胞肺がんに対して「オプジーボ」(ニボルマブ)が承認されました

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