膵がんの化学療法FOLFIRINOX

日本において新規膵がん患者は、国立がん研究センターの予測では年間38,700人(2015年)と予測されており、年々増加傾向が認められています。膵がんは早期発見が難しく、発見された時には切除が出来ないケースが多いがんでもあります。化学療法では、ゲムシタビン塩酸塩(GEM:商品名ジェムザール他)の単独投与が行われてきましたが、治療選択肢が少ないことが問題となっていました。

一方で、米国、カナダおよび欧州では、膵がんの標準治療法として確立されているFOLFIRINOX療法{オキサリプラチン(L-OHP:商品名エルプラット)、イリノテカン塩酸塩水和物(CPT-11:商品名カンプト、トポテシン)、レボホリナートカルシウム(l-LV:商品名アイソボリン他)、フルオロウラシル(5-FU:商品名5-FU)の4剤併用化学療法}が日本に先行して行われていました。

そして、ようやく2013年の12月に日本でもFOLFIRINOX療法が承認をされました。

適応は「治癒切除不能な膵癌」です。膵がんにおけるFOLFIRINOX療法については、承認時までの海外での臨床試験(ACCORD11試験)で、従来のGEM単独投与に比べて全生存期間を有意に改善したことが認められています。 しかしながら、FOLFIRINOX療法は、日本での臨床試験で全例において何らかの副作用が認められています。使用には十分な注意が必要だと言われています。

進行・再発膵臓がんのペプチドワクチン投与(臨床試験)

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膵がんの原因、慢性膵炎

慢性膵炎があるとすい臓がんを発症しやすいと言われています。また、性別では、男性に非常に多いと言う調査結果もあります。

では慢性膵炎の原因はなんでしょうか。実は膵炎の原因は慢性でも急性でも最も多いのはアルコールです。ですから、慢性膵炎の治療で最も重要なのが、断酒です。アルコール性膵炎の人はもちろんの事、そうでない場合でも飲酒を控える必要があります。

しかし、慢性膵炎を発症している人の場合は、長年の大量飲酒が習慣化しており、膵炎を発症してからも飲酒をやめられない人がしばしばいらっしゃるようです。

しかしアルコール性慢性膵炎の人の追跡調査では、禁酒成功例は腹痛消失率が高く、糖尿病合併率が低いなどの結果が出ているそうです。

以前にも何度か触れたことがありますが、糖尿病とがんは密接に関係しています。もし糖尿病が防げるのであれば、それだけでもがんリスクは低くなると考えられます。

アルコール性膵炎の方は、いったん飲み始めると適量で止められなくなることが多いので、「節酒」ではなく「断酒」が良く、その為にも家族や周りの方の協力を仰ぐことも大切です。

がんと糖尿病の関係 その2

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膵がんの危険因子

日本では膵がんと言うと、一般的には「浸潤性膵管がん」を指し、発症すると進行も早く、予後も悪いがんだと言われています。膵管から発生し、砂をまき散らすように周囲に広がっていくがんで、見つかった時には、約半数の人が切除できないと言うのが現状です。

では、そのようなすい臓がんはどのような人がなるのでしょうか。上記したように、すい臓がんは早期発見が非常に難しいがんで、見つかった時には進行しているケースが多いので、なかなか危険因子を絞り切れていません。

しかしながら、今までのいろいろな疫学的研究の結果、膵がんガイドラインでは下記のような危険因子が挙げられています。

1.家族歴

兄弟や父母、祖父母が膵臓がんを発症している場合は、やはりすい臓がんになる可能性が高い傾向にあります。また、遺伝性膵がん症候群と言って、遺伝的にがんが速くできてしまうような方もすい臓がんの発症率が高いと言われています。

2.合併疾患

合併疾患として糖尿病を持っている人は疫学的にみて糖尿病でない人よりもリスクが高いと言われています。また、肥満や慢性膵炎もリスクが高い傾向にあります。

3.喫煙

生活習慣では喫煙が独立した危険因子としてガイドラインに掲載されています。危険率は2~3倍と言われています。

見つかった時には進行していることの多いすい臓がんです。上記に心当たりのある方は、定期的な検診をされてはいかがでしょうか。

膵がんの原因、慢性膵炎

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進行・再発膵臓がんのペプチドワクチン投与(臨床試験)

有効な治療法がないと言われている、進行・再発膵臓がんの患者さんに対するペプチドワクチンを投与する治験が行なわれています。

行なうのは札幌医科大学付属病院と東京大学医科学研究所付属病院です。(2015年7月現在、神奈川県立がんセンターも治験実施医療機関に加わっています)

サバイビン2Bと言う、がん抗原タンパク質を小さく断片化した分子(ペプチド)の一種と、「STI-01」という、インターフェロンベータ製剤を併用します。

サバイビンはがん細胞において強く発現しており、サバイビン2Bを皮下注射することによって、このペプチドが患者さんの体内でリンパ球を刺激して増加、活性化させ、がん細胞を攻撃して死滅させると考えられています。札幌医科大学での第一相試験では、約53%の症例で腫瘍の増大を抑制する効果が確認されました。

今回はその第二相の臨床試験となります。期間は「2013年10月~2016年12月」を予定しており、予定の症例数は71例です。

試験の対象者となる方は、次の項目を全て満たす方です。

  • 進行・再発膵臓がんであること
  • 腫瘍細胞にサバイビンが発現していること
  • 根治手術が不可能で標準的抗がん剤治療を受けていること
  • 過去にがんワクチンの治療を受けていないこと
  • HLA遺伝子がHLA-A*2402であること
  • 同意取得時の年齢が20~85才であること

ただし、注意しなくてはいけないのは、これはあくまで第二相の臨床試験だということです。この試験に参加される患者さんはSTEP1では、

  1. ペプチドとインターフェロン併用群
  2. ペプチド単独群
  3. プラセボ群(偽薬)

にランダムに振り分けられ、医師も患者も、自分がどの群に振り分けられたか知ることが出来ないのです。自分は治療を受けているつもりでも、実はそうでなかった場合も有り得るということなのです。それでも効果を期待できる可能性もあります。ご興味のある方は問い合わせをされてみてはいかがでしょうか。

【プレス発表】http://www.ims.u-tokyo.ac.jp/imsut/jp/files/131202.pdf#search=’SVN2B’

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