食道がんの特徴と症状

食道は口と胃をつなぐ管状の臓器で消化機能を持たない食物の通り道です。

そして食道には漿膜という臓器を包む膜が無いと言う特徴があります。このため食道がんは、転移しやすいという性質があります。

食道がんは食道の真ん中か、下1/3に最も多く発生します。食道の上皮は扁平上皮で出来ているので、食道がんの90%以上が扁平上皮がんです。

喫煙、飲酒、熱い飲食物などが食道がんの発生と関係するといわれています。特にお酒とタバコの両方をたしなむ人に多く見られます。食道がんにかかると咽頭や口、喉頭などにもがんが出来やすく、一方で、咽頭や口、喉頭などにがんが出来ると、食道がんもできやすい傾向があるようです。

食道がんの症状は以下のとおりです

1.無症状・・・健康診断や人間ドック時に、無症状の食道がんの20%近くが見つかります。

2.食道がしみる感じ・・・食物を飲み込んだ時に胸の奥がチクチク痛んだり、熱いものを飲み込んだ時にしみるように感じるなどの症状が、がんの初期の頃に認められ、早期発見には重要な症状となっています。

3.食物がつかえる感じ・・・がんが大きくなると、固形の食物がつかえて異常に気が付くことになり、がんがさらに大きくなると、水も通らない状態になります。

一般的な治療方法としては、手術、内視鏡的粘膜切除術、抗がん剤治療、放射線治療となり、これらを組み合わせた集学的治療も行われます。

また放射線医学総合研究所では食道がんに対する重粒子線による臨床試験も行っていますが、臨床病期Ⅱ、Ⅲ期食道がんに対する化学療法併用術前炭素イオン線治療の第I/II相臨床試験となっています。扁平上皮がんが対象となっています。術前となっていますように手術との併用治療ですので、病巣が手術により切除できることが必要条件になります。肝臓や肺、遠隔リンパ節などに転移がある患者さんは適応外となっています。

食道がんの原因-バレット食道

続きを読む

前立腺がんの臨床試験‐寡分割照射法(放射線療法)

前立腺がんの治療選択の一つに放射線療法があります。放射線療法には外照射と内照射があります。

内照射では、放射性物質を小さなカプセルに密封し、それを前立腺の中に埋め、身体の中から放射線を当てる小線源療法が行われます。

一方、外照射は身体の外から放射線を当てる方法です。前立腺がん診療ガイドラインでは根治的放射線治療では総線量70グレイ以上が必要で、1回あたりが1.8グレイから2グレイの照射が標準と記載されてます。その為に患者さんは相当回数の通院が必要となります。

寡分割照射法は1回の照射量を増やす照射法の事で、照射回数を減らすことが出来ます。生物実験や組織内照射の結果から、前立腺に放射線を照射する場合には高線量を少数回かけたほうが良く効くかもしれないと数年前から指摘されるようになってきたからです。

しかし1回あたりの線量を増やすので、少し間違えば正常組織を傷つけてしまい、副作用が強く出てしまいます。そこで用いられるのがIMRT(強度変調放射線治療)とIGRT(画像誘導放射線治療)です。両者を併用することにより、非常に精度の高い照射が可能となります。

日本ではIMRTとIGRTの併用寡分割照射の第Ⅱ相臨床試験が行われています。1回あたりの照射線量は2.5グレイで、総線量70グレイを28回で照射します。現在は登録が終了し、経過観察中です。

欧州では従来法と比較して同等の成績とする報告が出始めていますが、日本ではまだデータの報告はされていません。この治療法が可能になると従来法では8週間掛かっていた放射線治療が6週間でできると言うメリットと1回の線量を上げることで治療効果が高まるかもしれないと言う事があります。

ただし、承認されたとしても、機材の問題と技術的な問題で、限られた施設での治療となるかもしれません。

最先端型ミニマム創前立腺全摘手術(ロボサージャン手術)

続きを読む

切らない乳がん治療 MRガイド下集束超音波療法

乳がんの治療において、出来れば乳房に傷をつけたくないと言う女性は多いと思います。大きながんでなければこのような要望を実現する試みが行われています。そのうちの一つがMRガイド下集束超音波療法です。

虫眼鏡の要領で超音波のエネルギーを一点に集中させ、熱でがん細胞を殺す治療法です。MRIと言う画像診断装置を使ってがんを狙うのでMRガイド下と言われます。

治療時にはMRIを見ながら行なうため、MR画像で焼灼範囲の計画を立てた通りに治療することが可能であり、治療データの保存が容易で温度のモニターもでき、焼け残りの有無もわかるので、世界的に研究が進んでいます。

適応は、大きさ2cm以下、広い乳管内進展がない、リンパ節転移がない、腫瘍が皮膚・肋骨から9㎜以上離れている、などです。

すでに子宮筋腫の治療で使われている治療法でもあり、治療方法としては全くの目新しい治療法ではありませんが、日本では臨床試験や自由診療として行われています。

乳がんの陽子線による研究治療

乳がんの分子標的薬カドサイラについて

乳がんの遺伝子治療について

続きを読む

臨床試験と治験

臨床試験とは患者さんに参加いただき、実際に治療や診断を行って、新しく考案された治療法や診断法の有効性や安全性を客観的に評価する研究の事を言います。

現在行われている治療法や診断法も、今までに多くの患者さんに協力していただいた臨床試験により作り上げられたものと言えるでしょう。

臨床試験には「研究者(医師)主導型臨床試験」と、「治験」があります。

「研究者主導型臨床試験」は、研究者が主体となり、すでに国内で承認された薬剤や治療法、診断法の中から最良の治療法や診断法を選び出すことや、薬のより効果的な組み合わせを探ることを目的としています。

一方、「治験」は、未承認薬を用いるものです。主に製薬会社が主体となり、薬を厚生労働省に認めてもらうための臨床試験です。

臨床試験は、これまでの治療法よりも、より良い治療法を提供することを目的とするものですから、臨床試験に参加すれば、その治療法をいち早く受けられることがメリットとなります。

もちろん臨床試験は参加している多くの病院から絶えず情報を集めながら、患者さんの健康を第一に慎重に行われます。しかしながら新しい治療法ですから、予想しただけの効果が得られなかったり、思いもよらない副作用が生じたりすると言うデメリットもあります。

臨床試験に参加するには、病気の種類だけではなく、進行度合い、持病の有無や過去の治療経過、身体の状態など、さまざまな参加基準を満たすことが必要になります。臨床試験に参加している病院では、この基準に当てはまる患者さんに臨床試験のご案内をする場合もあります。

臨床試験に参加している病院のホームページでも、その病院が参加している臨床試験の情報を公開しています。ご興味のある方は参考にしてみてはいかがでしょうか。

続きを読む

進行・再発膵臓がんのペプチドワクチン投与(臨床試験)

有効な治療法がないと言われている、進行・再発膵臓がんの患者さんに対するペプチドワクチンを投与する治験が行なわれています。

行なうのは札幌医科大学付属病院と東京大学医科学研究所付属病院です。(2015年7月現在、神奈川県立がんセンターも治験実施医療機関に加わっています)

サバイビン2Bと言う、がん抗原タンパク質を小さく断片化した分子(ペプチド)の一種と、「STI-01」という、インターフェロンベータ製剤を併用します。

サバイビンはがん細胞において強く発現しており、サバイビン2Bを皮下注射することによって、このペプチドが患者さんの体内でリンパ球を刺激して増加、活性化させ、がん細胞を攻撃して死滅させると考えられています。札幌医科大学での第一相試験では、約53%の症例で腫瘍の増大を抑制する効果が確認されました。

今回はその第二相の臨床試験となります。期間は「2013年10月~2016年12月」を予定しており、予定の症例数は71例です。

試験の対象者となる方は、次の項目を全て満たす方です。

  • 進行・再発膵臓がんであること
  • 腫瘍細胞にサバイビンが発現していること
  • 根治手術が不可能で標準的抗がん剤治療を受けていること
  • 過去にがんワクチンの治療を受けていないこと
  • HLA遺伝子がHLA-A*2402であること
  • 同意取得時の年齢が20~85才であること

ただし、注意しなくてはいけないのは、これはあくまで第二相の臨床試験だということです。この試験に参加される患者さんはSTEP1では、

  1. ペプチドとインターフェロン併用群
  2. ペプチド単独群
  3. プラセボ群(偽薬)

にランダムに振り分けられ、医師も患者も、自分がどの群に振り分けられたか知ることが出来ないのです。自分は治療を受けているつもりでも、実はそうでなかった場合も有り得るということなのです。それでも効果を期待できる可能性もあります。ご興味のある方は問い合わせをされてみてはいかがでしょうか。

【プレス発表】http://www.ims.u-tokyo.ac.jp/imsut/jp/files/131202.pdf#search=’SVN2B’

続きを読む

切除不能肝転移大腸がんへのラジオ波焼灼療法の有効性

2015年米国臨床腫瘍学会学術集会(ASCO2015)において、切除不能肝転移大腸がんの治療で、ラジオ波焼灼療法の併用が生存率を改善すると報告がありました。

これは切除不能の肝転移性大腸がんに関して、「化学療法単独の治療」と「化学療法とラジオ波焼灼療法の併用治療」を比較した第Ⅱ相試験での結果で示されました。

化学療法は6か月のFOLFOX療法※の後にアバスチン(ベバシズマブ)の追加投与が行われると言う形で実施されています。

追跡期間中央値9.7年間後の結果報告では、無増悪生存期間(PFS)の中央値が化学療法単独群が9.92か月に対して併用群は16.82か月、また全生存期間中央値は単独群が40.54か月に対して併用群が45.6か月と、両郡間に有意差が認められたと報告されています。

※FOLFOX療法:フォリン酸(FOLinic acid)・フルオロウラシル(Fluorouracil)・オキサリプラチン(OXaliplatin)の3剤併用による化学療法を意味します。

大腸ステント治療

続きを読む