がんの早期発見に効果を発揮する特殊光内視鏡「NBI」

mm単位の小さいがんは、従来の内視鏡では映らないので見えないがんでした。ところが内視鏡技術を進化させた、特殊光内視鏡「NBI」(Narrow Band Imaging)が見えないがんの早期発見を可能にしました。

何故見えないものが見えるようになったのでしょうか。

がんは栄養分を引き込むために血管を新生します。しかしながらがんの芽である微細ながん細胞が引き込む新生血管は0.1mm以下と細いため、それを今までの内視鏡では発見できなかったのです。

一方、NBIは血管を流れる赤血球の成分であるヘモグロビン(小学校の理科で習いましたよね?)に吸収されやすい2つの波長の光で照らして観察するため、粘膜表層の毛細血管と粘膜微細模様が強調して表示されます。先述しましたが、がんは成長するときには新生血管を多く引き込みます。そのような状態になれば、NBIでは粘膜表層が込み入って見えるようになりますので、がんが早期発見できるのです。

特に咽頭・喉頭がん、食道がんのハイリスクグループには、このNBIが早期発見のための強力な武器になるでしょう。

頭頸部がんの分子標的薬治療

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頭頸部がんの分子標的薬治療

はじめに頭頚部がんの今までの治療方法を、解説します。

まずは早期なら手術又は放射線の単独治療を選択し、この段階では単独療法で治癒する可能性が高いです。

局所進行になった場合は発声などの機能温存を希望しなければ手術、機能温存の希望があったり、手術が出来ない場合は化学放射線療法が行われました。

そして再発・転移がんになると、局所治療の適用があれば手術か化学放射線療法、そうでない場合は化学療法となっていました。

しかしながら、局所進行がん以降の化学療法と放射線の併用で重い副作用が出ることがわかっています。粘膜炎や皮膚炎、嘔吐などは放射線単独よりも化学療法併用で2倍以上現れるようです。さらに言えば化学放射線療法の合併症による死亡率は、治療関連死亡率の全体の15%にも上っています。つまりこの治療は標準治療と言えども副作用の面で問題視され、新たな治療法が望まれていました。

そこに、2012年の12月に分子標的薬のアービタックスが、頭頚部がんの治療において適応追加がされました。アービタックスは日本では2008年に大腸がんの治療薬として承認され、2010年からは一次使用が承認されてます。しかしながら欧米ではその頃から頭頚部がんにも承認され始めていました。ここにきて、日本でもようやく臨床試験を経て承認となりました。日本では頭頚部がんに対する初めての分子標的薬です。

この薬が選択肢に入ってくることにより、患者さんには大きなメリットが期待されています。局所制御期間が、放射線単独に比べ、アービタックス併用により大きく延長されています。さらに大切なことはアービタックス併用による、放射線の毒性の悪化が少ないことです。つまり、副作用が放射線単独と比較してもあまり変わらないと言うことです。さらに患者さんのQOLも悪化させないことがアンケートによりわかりました。また、再発した場合も、化学放射線治療よりも救済手術がしやすいというデータもあります。

これらのことは前述した化学療法との併用と比較すると画期的な効果ではないでしょうか。ただ単純に生存の延長だけでなく、QOLの維持も満たせる治療法が選択肢になったと言うことは、患者さんにとっても非常にすばらしい変化ではないでしょうか。

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